天井の低いマンションをクールに改装

新宿のリノベーションマンション

2008年 改装

東京都新宿区

多忙なご夫妻の東京別宅です。長年所有していたマンションの1住戸は、倉庫として使用されていましたが、東京での打ち合わせもできる住宅として改装することとなりました。

階高設定が低いことによる水周りの位置優先の既存の間取りが、居室を細かく分断していました。また空調のためのスリーブ(コンクリート躯体の梁などに空けられた穴)の数も余裕はまったくありません。しかし水周り位置を変更しないことには、
現状の平面計画の無駄を解消することができません。給排水配管のための床上げ寸法と空調の天井配管を隠蔽するための天井仕上げ寸法のシビアな検討により、生活に支障のない天井高を確保することから始めました。その結果、床上げした部分の大梁下寸法が1800強という一般的には苦しい設定となりましたが、大梁の存在を視覚的に目立たせなくする工夫にて問題を解消しました。

空間が少しでものびやかに感じられるように、浴室の壁の一面をガラス張りにして、ルーフバルコニーも視覚的に室内の延長として意識できるような工夫をしました。来客の多さを考慮して、リビングとダイニングをパブリックな雰囲気に位置づけるため、住空間としては非日常的なモルタルを壁天井の質感としました。室内をクールな印象にすえることにより、生活感を遠ざけることができたと思います。

階高設定が苦しく面積も大きくない大都市の昔のマンションを、夫婦用に甦らせることを体感できたお仕事でした。
これからの時代に終の住家の考え方としても有効な気がします。

施工 株式会社エスツー
照明計画 株式会社ライト

面積 20坪