まちに際立つシンプルな白い箱

こやま歯科医院

2014年 新築

京都府向日市寺戸町東田中瀬11-4

TEL.075-874-3096

http://koyama-haisya.jp/



京都の中心部には景観条例があり、
まちなみを守るという意味ではとてもいいことなのですが、
判断の裁量が担当の公務員にあるので、
美しい建物をつくることが困難になる、
評判の悪い条例となっています。

向日市には景観条例がありません。
自由であることは素晴らしいのですが、
ハウスメーカーのような建物が乱立していて、
これはこれで問題です。

東向日駅から徒歩5分のロードサイドで
視認性の良いロケーション。
建物が建っていない土地もありますが
密集地ではないゆえか
まちなみはなんだかどんよりしています。
良い意味での違和感が欲しいところです。

30坪の土地で準防火地域。
北西側だけが接道となります。
なかなか厳しい条件です。

木造のサッシは外壁面より前に出てきますので、
意匠上はマイナス要素です。
コンパクトな建物が木造サッシだらけになると
外観上際立ったものになりにくいと思い
庭を内部に引き込み外皮で覆うことにしました。

キューブに近いシンプルなフォルムに
庭の部分だけをアトランダムに開口しました。
樹木も絡み窓内部がダイレクト見られにくい
プライバシーにも配慮したかたちでもあります。

意外にも周りに見られない白い外壁が
周辺を照らすレフ板のように輝き
住宅ではない鮮烈な存在感を放ちます。

内部プランは合理的に組まないと成立しません。
しかし待合の吹き抜けや
内部に入り込んできた庭のおかげで
詰め込みを感じさせない空間とすることができました。

診療室には適度に外光も射し込み
外皮と窓の間の樹木が気分をやわらげます。
視点がユニークで楽しい
小山先生と奥様の夏子先生が活躍できるに相応しい
両先生にお似合いの舞台を
つくることができたと思います。
夜の外観は内部から光が漏れて、
まちに据え置かれた照明器具のような
存在感に変わります。

昼夜華やかに光を放ち
小山先生ご夫妻の診療が評判となり
あとに続け!とまちなみも活性して
逆に古い建物がレトロな魅力を
放ち始めることを期待しています。

楽しい小山先生ご夫妻が
その礎を築いたと言われるように
なればいいなと思っています。









施工 有限会社 起廣プラン
構造設計 一級建築士事務所ステラジアン 原田順三
照明計画 株式会社ライト 阪東英輔
ロゴデザイン 小山夏子
撮影 冨田英次

敷地面積 97.14㎡ 29.38坪
建築面積 68.83㎡ 20.82坪
延床面積 126.69㎡ 39.23坪