あるべき姿に戻して現代的にコーディネート

西吉野の柿つくり農家

2006年 改装

奈良県五條市

四国化成 2007施工写真コンテスト 優秀賞
新しい住まいの設計 2007年7月号 掲載
モダンリビング 2010年189号 掲載

奈良県の橋本から十津川方面に165号線を走り30分。
河瀬直美監督の映画「萌の朱雀」の舞台となった地域。
柿畑が広がる山の中に、この農家があります。
先々代が曳き家をしてこの地に定めたとのことですが
最初に建てられた年月はわかりません。

村という共同体の習慣が
生活を律していた時代の典型的な間取りで
慶弔時の座敷を南側のいいところに配置しています。

小さな改装を重ねながらも
快適とは言えない日常となってしまう原因が
そこにありました。
日当たりと眺めが良い座敷2間は
お客様専用として閉めきられ
北側の段差が多い台所と茶の間と寝室 
さらに外のトイレで長年生活されていたようです。
当初は北側3室の部分改装のつもりでいおられましたが、
生活スペースを南側に移すことを提案しました。
機能していない座敷を北側に移し
友人と楽しく団らんできるリビングを
生活の中心に据えるということです。

長年天井裏に隠れていた木構造を露出させ
あるべき姿に戻して」あげることがコンセプトです。
古風な雰囲気に現代的な家具や照明器具をコーディネート。
時代の対比にて新しい雰囲気が感じられることを目指しました。

そのために物理的な検討が不可欠になります。
屋根 壁 床に断熱材や床暖房を仕込み
寒さ対策を万全にしました。
背の高い主人が鴨居で頭を打たないように
ご床を下げて段差も解消しました。

リビングの床が延長しているかのようなウッドデッキを設け
そこから見事な山の稜線が眺められます。
床の間には掛け軸サイズの窓を開け
山の斜面の彼岸花や草木をライトアップして楽しめます。

お施主さんがつくる大きくて甘い富有柿は
口コミだけで出荷先がすべて決まってしまうほどのものです。
規格外の重量感は手塩にかけた時間の重みと感じられます。
この古民家も地元の 
棟梁 大工さん 電気屋さん 設備屋さん 建具屋さん
が時間をかけて勇姿を再現しました。
人好きで交友が多いお施主さんのこの家で
なにかにつけ楽しい宴が催されることでしょう。





施工 株式会社 尾野工務店
照明計画 マックスレイ
撮影 藤谷伸次