白い有機的な造形の癒し

いりさわ心と体のクリニック

2011年 新装(ビル診 内装)

大阪市中央区難波3-7-12 GP・GATEビル3F

TEL:06-6635-5501

http://www.irisawa-cl.jp/

大阪の2大繁華街のひとつである難波。
ミナミと呼ばれるこのエリアには、中小の路面店が軒を連ね、大阪らしい喧噪が感じられます。そのターミナル駅から徒歩1分の便利なビルの中にいりさわ心と体のクリニックがあります。お笑いの聖地のイメージが強いミナミにも笑い飛ばすこともできない悩みで気分がすぐれない人はたくさんいてみんな同様に現代を生きているのですね。

精神科の勤務医として多くの専門的な経験をつんでこられた入澤先生はクリニックの器が患者さんに働きかける心理的な影響についてもいろいろと模索されていたようです。その結果として白い空間を望んでおられました。一般的には白は無機的で硬質なので落ち着く空間とは逆のようなイメージがあります。精神科にはホテルのような暗めで光ムラが多い空間を提案をしてしまいそうです。しかし資料をいろいろ読んでみますと光の量により気分が変わったりすることもある等、単純な切り分けはできないようですので逆に白くて落ち着きのある空間を考えてみることに興味を持ちチャレンジしようと思いました。

ミニマリズムのような
人やモノを視覚的に際立たせてしまう空間ではなく
白くて有機的なサンゴ礁のように
気持ちが逃げ込む隙間がある空間を目指しました。
エレベーターを降りると
白いタイル貼の壁の奥に興味を持ってもらえるような派手な造形を施し
ビル診ゆえの外部へのアピールの弱さを補いながら導入を促します 。
その奥の待合室は、 患者さん同士ができるだけ目が合わない角度で
座ることができるように計画しています。
部分的に子供の時につくった基地のように
隠れて入り込んだ席もつくりました。
診察室は120°の角度で机をつくり、 限られたスペースの中で
ドクターと患者さんの距離感をコントロールしています。
白くスタイリッシュでありながら
気持ちに配慮した空間をつくることができたと思います。

通院まで至らない精神状態だとしても
もっと気持ちが落ちてしまったら行けば良いという場所ができて
それをお守りのようにして日常を生きることができます。
昔の寺社仏閣にはそのような機能があったかもしれません。
評判の良い診察ゆえに
多くの人々にとってすぐにそのような場になることと思います。