スキップフロアから桜とピアノを楽しむ

さくら舞台の家

2007年 新築

大阪府大東市

毎日放送 TV 「住人十色」放映
モダンリビング 2008年11月号 掲載
新しい住まいの設計 2008年6月号 掲載
MY HOUSE 100選VOL.8 掲載
Mono Max 2009年8月号 掲載

楽しいビジョンを抱くご夫妻と
将来生まれてくる子供たちのためのお家です。
ご主人はディスプレイ会社勤務 奥さんは幼稚園の先生で
将来は自宅でピアノ教室を開くことを考えています。
設計依頼時に構図がきれいな現地写真が届いたことが印象的で
美術的な視点が豊かなお施主さんであることが感じられました。

敷地南西の歩道に大きな桜の木があり
その奥から大きな橋が迫っています。
視覚的に閉じるところと開くところを 
明確にコントロールした結果として
まどの位置とサイズが決まるものです。
桜に向けて大きく開口したいところですが
それはすなわち橋からの視線を
室内に引き込むことになります。
隣地や全面道路からの視線は遮断できるものの
桜への視線と橋からの視線の相克が難題として残りました。
しかし楽しげな生活をいろんな人から見て欲しい
というお施主さんの言葉が解決に導いてくれました。

17坪の建築面積にグランドピアノを配置すると
一般的には威圧感があります。
ピアノのフロアを1/4階さげることで
その上2段の生活スペースが
グランドピアノを見下ろす客席のようなリビングとなり
開放感も得られます。
変則スキップフロアによる生活スペースそのものが
同時に橋から見下ろす
舞台であるかのような構成となりました。

変則スキップフロアを上階にも発展させ
分散する各居室を開放して視覚的に結ぶことにより
複雑な室内風景をつくることができました。
屋上からはほぼ同レベルにある廊下と和室の窓を通して
遠景を眺めることができます。
室内を介した外部から外部への風景も
楽しむことができるようにしました。
視覚的開放と空気環境の独立を両立させるために
室内にガラスを多用しています。
透過と反射により 複雑な室内風景が
より多様に変化することを
感じることができます。
変化の発見が日々見出せる空間となりました。

生活を舞台に見立てても
そうあってほしくない時もあります。
吹抜けとリビングの間には空気を区切ることができる
ポリカボネートのスライドパーティションを設け
同時に橋からの視線を遮断することにも役立ちます。
区切ることで室内に相対的な外をつくり
仕切られた内側により内部であることを強調する
落ち着きをもたらします。

桜が咲くころに花見が予定されています。
桜が映り込むグランドピアノの演奏を聴きながら
お客さんが複雑なフロアに
それぞれの場所を見いだし歓談するような
この家でしかできない花見風景を楽しみにしています。
構造設計 木谷構造設計事務所 木谷正
照明計画 遠藤照明
施工 中川建築工房
撮影 藤田写真事務所 藤谷伸次

木造3階建 新築
敷地面積 98.86㎡ 30坪
建築面積 56.70㎡ 17坪
延床面積 142.49㎡ 43坪 車庫4坪含む