上に延びゆく外部との関係

奈良の立体コートハウス

2012年 新築

奈良県橿原市








奈良県橿原市の大和八木駅は
にぎやかな駅と言われています。
有名なきなこだんごのお店や
隠れた名店があります。

敷地は駅に近く、防火地域で37坪。
鉄骨造か鉄筋コンクリート造で
4人家族の住宅をつくることになります。

お施主さんは、
すっきりした外観やソリッドであるいい質感に共感されて
鉄筋コンクリート造を選択してくださりました。

地盤が悪く杭打ちが必要で、
そこにかなりのコストをとられてしまいますが、
それでも揺るがず鉄筋コンクリートで進めてくださったおかげで
際立った建物をつくることができました。

敷地まわりはかなり建てこんでいて、
境界線からのセットバックが取れていない建物もあります。
3階建て以上が多く、
北側道路を挟む向かいには特に高い建物が建っています。
うかつに窓を配置すると
ずっとカーテンを閉めた生活になってしまいます。

北側に窓をまったくつけず、
壁とリビングの吹き抜けとの間に中庭をつくりました。
東側の窓は空に北側の窓は中庭の樹木に開きます。
外部からも大きく見える
リビングの天井を外観としてとらえ照明器具をつけず
リビングの光の重心を下側に降ろすことにより
夜も落ち着く雰囲気となりました。

リビングとダイニングはひとつながりで、
さらにスキップフロアとなるカフェリビングとも
視覚的につながります。
26坪の建築面積ながらも広がりが感じられる
気持ちいいリビングダイニングとなりました。

カフェリビングは2階の廊下とも視覚的につながり、
隣の立派な和風建築である母屋を借景としています。
お子さんが勉強したり友達を連れてきて遊んだりと
活用されています。
2階の浴室とトイレは
どこからも見られない2階の中庭に面してします。
トイレに入った正面も掃出し窓となっていて、
浴室と同様に窓全開で使用することができます。

カフェリビングの上は同様に半階ずれた主寝室で
窓からは3階のルーフバルコニーにある
植栽を見ることができます。

3階のルーフバルコニーも隣地側からの視線に配慮し
また日陰をつくり日焼けを気にせずにくつろげるように、
一部を壁と屋根で囲い
植栽と影に包まれた バーベキューもできる
気持ちがいい屋外スペースとなりました。
非常用進入口や道路斜線の処理や
構造的に逆梁などを多用するなど
無駄を少なく理想の造形との折り合いをつけることを心掛けた結果 
楽しい外観ができました。
くり抜かれた部分がコンクリート打ち放しになっているルールで構成した
ツートンの建物となっています。

リビングの大きな窓は延焼のおそれのある部分にあたり、
普通は網入りガラスとなりますが、
高価なファイヤーガラスを使ってもいいとの
お施主さんの心意気による提案にて
外部ととても近いなつながりができました。

お施主さんの素晴らしい考え方が結実した
とても快適な住宅となりました。







施工 三和建設株式会社
構造設計 有限会社アン建築事務所
照明計画 株式会社ライト 阪東英輔
撮影 冨田英次
撮影 山田誠良

敷地面積 123.64㎡ 37.40坪
建築面積 86.75㎡ 26.26坪
延床面積 193.35㎡ 58.46坪